自分が撮った写真で、何かを動かしたい

 オランウータンをはじめとする野生動物の写真を撮影しているケースケ・ウッティーさん。

各国で出合った動物達と、そこに直面している問題を、独自の視点で表現しています。ウッティーさんが写真を通して伝えたいこととは何か。現地でのエピソードとともに語っていただきました。

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Photographer:ケースケ・ウッティー 1977年生まれ

日本自然科学写真協会 会員
自然環境問題に関心があり、特に人為的絶滅に追いやられる動物について何かできないかと思っている。撮影対象は身近な自然から秘境まで。

略歴
・1998年 日本動植環境カレッジ 自然環境保護学科 卒業
・東京都葛西臨海水族園 準職員(アルバイト)
・2001年 日本写真芸術専門学校 写真芸術科 卒業

写真展歴
・2008年 オリンパスギャラリー東京にて写真展 タマナショナル〜オランウータンとこの森の関係〜 開催
・2010年 恵比寿 アップステアーズギャラリーにて写真展 6・23 光と影の沖縄 開催
・2013年 1月 オリンパスギャラリー東京、6月大阪にて写真展 ゴリラボヤージャー 2011 〜東から西へ〜 (東のゴリラ編 ) 開催
・2015年11月 オリンパスギャラリー東京にて写真展 イエネコの野生 開催
以上

 

 

オランウータンの現状、そして森へ帰すプロジェクトを取材するため、インドネシアへ

 

2008年にオランウータンと森の関係を伝えるため写真展を開催しました。舞台は、ボルネオ島インドネシア領(カリマンタン)、タンジュンプティン国立公園。ジャングルに約1ヶ月間滞在し、オランウータンとプロジェクトの森を撮影しました。

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”インドネシア オランウータンの棲む森” SHOT JAPAN GALLERY

オランウータンを絶滅へ追いやる要因は、生息地の減少とペットとしての密漁などです。生息地の減少とは、ジャングルを開発することです。また、ペットとして需要のある子供が捕獲されるとき、一緒にいる母親は殺されます。子供は母親に寄り添い約8年間、生きるすべを学んでから自立するのです。8歳未満の子供は自然界で自活できません。

オランウータンを森へ帰すプロジェクトとは、ペットとして密猟された個体や、病気など、様々な理由で保護されたオランウータン達をリハビリし、再び森へ帰すというプロジェクトです。森へ帰されたオランウータン達は、生活に必要な食べ物を全てまかなうことが出来ないため、1日に2回ほど食べ物をもらいに集まってきます。写真のほとんどはその場所で撮影しました。本来、野生のオランウータンは木の上の方にいて、地上近くで見ることは稀です。また、人を恐れて隠れてしまうので探すのも大変なのです。そのため、野生のオランウータンと出会ったのは滞在中2回ほどですね。

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そもそも取材に行ったきっかけは、2002年に「あと10年したら野生のオランウータンは見られなくなる」という報道を見たから。もともと動物が大好きで、自然保護関係の仕事に就きたかったこともあり、すぐに翌年に現地へ行きました。実際、今でも野生のオランウータンを見られる場所はありますが、絶滅の危機に瀕しているのには変わりありません。実は、オランウータンの絶滅には、私たち日本人も少なからず関係しているのです。私たちが輸入しているパーム油や木材は、オランウータンの住んでいる森を壊して生産されていたりします。写真を通して、オランウータンと森について考えてもらうきっかけになればと思い、写真展を開催しました。

 

人の心に一番伝わるのは、プリントの写真

 

2011年には、アフリカ中央部東側から西側へ、3か国の野生ゴリラを訪ねる旅を企画・実行しました。ゴリラはとても繊細で、人間に生活を覗き込まれることにストレスを感じます。ですから、顔見知りでない大人数の人間に囲まれると移動を開始してしまいますので、撮影は非常に苦労しました。毎日、三脚と重い機材を持って、現地のレンジャーと一緒にゴリラを求めて森の中を歩き回りました。ゴリラと対面しても彼らは背を向けてしまうこともあるため、シャッターチャンスは限られています。しかも、ストレスを与えないように、ゴリラに出合っても1時間以内に離れないといけません。そんな中、とっておきのショットが撮れたのが、コンゴ民主共和国でのヒガシローランドゴリラの写真です。コンゴ民主共和国へは、ルワンダから陸路で入りましたが、北キブ州、南キブ州、共に外務省が退避勧告を出している地域なのです。ヒガシローランドゴリラの居る地域を訪れる観光客はほとんどいません。ですから、僕とレンジャーとで3名で行動できたということもあり、自然な表情をとらえることが出来ました。

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”コンゴ” SHOT JAPAN GALLERY

この旅の目的は、野生ゴリラの写真を撮って写真展を開くこと、と最初から決めていました。しかし、ゴリラはとても繊細な生き物です。1回のトレッキングでゴリラと一緒にいられる時間は60分。そのほか、国際的に取り決められた数々の制約をクリアしないとなりませんでした。

1回のゴリラトレッキングに参加できる人数は7〜8人。そのため、ゴリラと会うことが出来る人数は年間で限られます。ゴリラと7メートルの距離を保たねばなりません。ただし、ゴリラが近づいてきた場合は除く、などの制約があります。各国で5回のトレッキングに参加しましたので、2カ国で計10時間の制約の中で写真を組み立てることを頭に入れながら撮影に臨みました。その間、ゴリラたちは止まってくれません・・・・。ジャングルは暗いですし、三脚をセットして、いざカメラを構えるとゴリラたちが移動してしまうこともしばしば。撮影にはとても苦労しました。2013年にオリンパスギャラリー東京・大阪で、写真展として何とかカタチにすることが出来ましたが、計50点の写真を精査するのは大変でした。

やはり、人の心に一番伝わるのは写真展だと思います。雑誌やWebとかじゃなくて、プリントが一番伝わるんですよね。自分が撮影したオランウータンやゴリラの写真を通して、何か感じてもらえたら・・また、何かを動かすきっかけになればいいと思っています。

 

人為的に絶滅に追いやられる野生動物の事を知らせたい

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オランウータンの取材は、自分が写真家としてスタートする初陣にあたります。一番最初に撮影対象として選んだ被写体が類人猿であることから、次はゴリラ、チンパンジー、ボノボと追っていこうと決めていました。1回の取材と写真展を合わせると車一台を新車で買うほどの資金が必要で、次の撮影は未定になっています。

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SHOT JAPANのギャラリー内にも、動物の写真がたくさんありますね。中でも、イルカの写真を撮られている高縄さんの作品は目を引きました。僕自身、水族館でアルバイトをしたこともあり、海中の環境にも興味があります。陸と海が繋がっていますし、それらが複雑に絡み合って生き物が存在していますから・・・。ただ、水中は特殊な技術も必要ですし、簡単には踏み込めない領域ですね。地球上の圧倒的な大自然て、そこにあるだけで多くの人が注目しますが、ごく身近な自然だって、たくさんの不思議や感動があります。また、身近な自然を大切にする気持ちこそが、大きな自然を護ることに繋がると思っていますので、それを写真で伝えるためにアンテナを張り巡らせています。

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インタビュー SHOT JAPANスタッフ ユミ

【ウッティーさんよりお知らせ】

2016/3/29(火)~4/2(土)

二人展「カフェ・ゴリラ」(ケースケ・ウッティー×家鴨窯)

@カフェ・ジャローナ(港区赤坂2-6-22 B-102 地下1階・赤坂駅徒歩2分)
写真家ケースケ・ウッティーさんの野生ゴリラ写真 × 作陶家 家鴨窯さんの陶ゴリラで、カフェ・ジャローナさんが「カフェ・ゴリラ」になります!

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