その時にしか見られないものを撮っていきたい

 ワイルドで悪そうなネコ、どこか寂し気な表情のネコ――。アサカタカフミさんが撮る写真は、ネコへの愛で溢れています。街で出合ったさまざまなネコや、本業である映像ディレクターについてお話を伺いました。

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Photographer:アサカタカフミ 1978年生まれ

写真と音楽とネコを愛する映像ディレクター

2005 第4回 ポケットアート展(Gallery MADO)、黒猫展(猫の額 w/黒猫ポヲ)、ヨスガラユウギ館(ニヒル牛2 w/黒猫ポヲ) / 2006 第5回 ポケットアート展(Gallery MADO) / 2007 第6回 ポケットアート展(Gallery MADO) /2008 猫俳句(世界文化社) / 2012 個展 悪そうなヤツら(Gallery MADO) / 2015 グループ展 官能の情景(72Gallery)

 

映像ディレクションをメインに、写真もこなすマルチプレーヤー

現在は、映像ディレクターとシネマトグラファー、そしてフォトグラファーと、3足のわらじを履きながら活動しています。

もともと、中学生のころから映像に興味を持っていましたが、学生時代はビデオカメラが高価だったので、その代わりにフィルムカメラを持ち始めました。紆余曲折ありながら、今は映像の仕事をメインに、その傍らで写真を撮っています。映像ディレクターというのは、現場で映像をディレクションし、撮影・編集まで行う人。シネマトグラファーはビデオグラファーとも言われていて、ビデオカメラで映画のような映像を撮る人を指します。最近では、NPO法人グッド・エイジング・エールズとレスリー・キーさんがLGBTの人たちを撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN」のメイキングムービーを制作しました。

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ネコを撮ることで始まるコミュニケーション

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”悪そうなヤツら” SHOT JAPAN GALLERY

写真は、ネコやライブ風景を撮ることが多いです。基本的にネコは野良。新宿の繁華街や東京の下町、神奈川の海岸などに行き、そこで出合ったネコを気ままに撮っています。特に新宿は10年くらい前から知っているネコもいたりして、付き合いは長いですね。新宿の街をブラブラしていると、いろいろな職業の人たちに出会えて知り合いになれるんです。あの場所では、ネコを撮ることがコミュニケーションのきっかけになっています。

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僕自身、どちらかというと人と話すのが苦手なので、ネコのほうが気兼ねなく撮れます。独学で写真を始めたので、例えば人物を撮る時に、きれいに映る角度がどこかを見てモデルに指示するというようなことが苦手で……。ネコやライブみたいなドキュメンタリーをその場の雰囲気で捉えるほうが撮りやすいですね。ネコなんかは、ひたすら向こうの動きを追いかけるのみ。構図など難しく考えずに、ノーファインダーでフィーリングで撮っています。

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”悪そうなヤツら” SHOT JAPAN GALLERY

今後は、苦手としていた人物写真を撮ってみたいなと思っています。ライブでもポートレイトっぽいものとかにしてみたり。あとは、2012年に悪そうなネコの写真を30点ほど集めたネコ写真の個展を開いたのですが、今年あたりまたやりたいです。

 

時間の経過や空気感を伝えたい

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SHOT JAPANのギャラリー内でも、ネコの写真は多いですよね。犬の場合、自分が飼っている犬が好きという人が多いけれど、ネコは誰のネコだろうとネコが好きという人が多い。僕はフィーリングでネコを撮っていますが、同じようにネコを撮られている方に、どんな感じで撮っているか聞いてみたいです。

あとは、ギャラリー内では少ないですが、廃れた場所や物の写真は好きですね。ちょうど今、事務所の近くにある国立競技場が更地になっているのですが、そういった何もなくなってしまった場所とか、時間の移り変わりを意識するような建物とかに惹かれます。廃墟とはちょっと異なりますが、2011年の東日本大震災の後、宮城県の気仙沼周辺を撮影しに行きました。海岸線沿いから湾外に抜けてく道を進むごとに津波の凄まじさを実感し、見渡す限り破壊されている光景に言葉をなくしました。そこに在るはずのものが無くなっていて、無いはずのものが在る。興味関心なのか、何か強く惹かれるものがあり、無意識のうちに撮っていました。この場所の時間経過とか、空気感を伝えたい。なぜ今これを撮るのか、撮る意義を考えつつ、その時じゃなきゃ見られないものを撮っていきたいです。

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 ”負はひっくり返しても負のまま” SHOT JAPAN GALLERY

また、女性カメラマンの視点にも興味があります。ギャラリー内の作品でいうと、野生イルカを撮っている高縄奈々さんの写真は、単純にすごいなと思います。カメラの構図というよりはインパクトがすごい。こういう写真撮るんだ、という驚きがあります。あとは、料理と枯葉の写真をあげているAki(Aki Saito)さん。女性って、もっと青々してキラキラした写真を撮る人が多いのに、葉っぱを退廃的に撮っている。廃墟のイメージに近いですよね。一方で、料理写真は明るく新鮮なものという、その対比がおもしろいなと思います。

 

インタビュー SHOT JAPANスタッフ ユミ