写真はリズム。向き合えば自然と見えてくるものがある

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アートヌードや風景、ポートレートなど幅広いジャンルにおいて生命感溢れる作品を生み出している橋本タカキさん。自身の写真に対する思いや今後の展望などを伺いました。

 

Photographer:橋本タカキ

1971年生まれ
ファッション、アートヌード、ネイチャー、風景、コマーシャル、スナップなど活動は多岐にわたり、一貫して生命感溢れる作風を特徴としている。日本写真協会会員。
<主な賞歴>
2006年 第34回 APA公募展 (第34回 社団法人日本広告写真家協会公募展)公共広告部門奨励賞
2009年 SONY WORLD PHOTO AWARDS 2009 コマーシャルカテゴリーファッション部門3rd Place
<個展>
2005年「WAVE〜なみのいろなみのおと〜」コニカミノルタプラザ
2008年「Shangri-La」ある楽園の情景、その中での彷徨い コニカミノルタプラザ

 

「言葉」を意識して写真を撮る

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僕はアートとは隠喩であり、写真はリズムだと思うんです。写真は音が聞こえないし匂いもない。でも、写真と向き合えば自然とそういったものが見えてきます。

馬をテーマにした「Season of the Wind」では、馬の疾走感を表現しながらも一方で静的な一面を見せています。今にもいななきが聞こえてきそうな場面では、同時に風が吹く音や空気の温度を感じさせます。一枚の写真上で様々なリズムを表現しているのです。

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”Season of the wind” SHOT JAPAN GALLERY

また、写真を撮り始めた当初から「言葉」というものを意識していました。よく、「言葉にできないことを写真にしている」という人がいるけれど、僕は違うと思う。言葉にできないことは写真には表せません。写真は自分が見たとおりにしか映らないですから。要は「どう見るか」。僕は自分が思ったことを言葉にして、写真というカタチでファンや顧客に伝えていっています。

 

作品の普遍的テーマは「命」

 

SHOT JAPANのギャラリー内にある花々の表情を集めた「MIYABI」は、現世を表現した作品です。草花は激しく動かないけれど、季節によって静かに変化していきます。花もポートレートと同じで、こちらから心を開いて向き合えば、ちゃんとその姿を変えてくれます。あえて全て黒バックにすることで、風になびく葉っぱのざわめきや花の息づかいなどといったリズムを生み出しているのです。だから「MIYABI」は、季節をうたった短歌を詠むように楽しんでほしいですね。

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 ”Season of the wind” SHOT JAPAN GALLERY

僕の作品の普遍的なテーマは「命」。海のシリーズ「Wave」は、濡れたところは彼岸で、乾いたところは此岸という境界線を表しています。

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「Shangri-La」は“向こう側”を意味します。僕は今まで様々な色を見てきたし知っています。だけど“向こう側”は現世の色で表せないから、色の情報を全部抜きました。モノクロにすることで、その写真は見る人によって様々な色を想起させます。各自が追体験していきながら、自分の鏡のように写真と向き合ってもらいたいなと思っています。

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リビングに置いてずっと向き合っていられる写真を撮りたい

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今後についてはいろいろと構想はありますが、やはりコンテンポラリーアートとして写真を捉え、今までなかった目線でやっていきたいですね。何だかよくわからないけど、見れば見るほどおもしろい、そんなコンセプチュアルなものを表現できればと思っています。

写真って、シャッターを切ったら終わりじゃなくて、シャッターを切るまでの間に制作時間があるんだと思うんです。何をどう見て、どう感じて、どう撮るか……。思いの強さだけではいい写真はできないけれど、どれだけ思考を積み重ねてきたかが大事だと考えます。ぱっと見た目は派手だけど、よく見ると5秒も見てられない写真って多かったりしますよね。リビングにおいて1時間でも2時間でも向き合っていたいと思えるものでなきゃ。だから僕は自分の写真を実験的に飾るし、部屋の中にずっと置いておきます。飽きる写真なんてそんなのだめ。頭から離れない、地味だけど気になってしかたない、そんな写真をつくりたいと思っています。

 

ストーリーやリズムを感じる作品に注目

 

SHOT JAPANのギャラリーはよく見ます。やはり、コンセプトがしっかりまとまっている人の作品は注目しますね。リズムよく写真が展開されていたり、見せ方を考えている写真は自然と引き込まれます。

そういった意味も含め、友人のケースケ・ウッティーさんの写真は好きです。オランウータンやネコの写真を撮っているんだけど、彼の独特の目線で見る写真がすごくいいですね。

あとは、Aki(Aki Saito)さん「枯葉」はおもしろいですね。仕上げとか見せ方ですごく化ける可能性を秘めている。欲を言えば、アップだけじゃなくて葉っぱ全体のスタイリングや表情を見てみたいと思いました。

 

インタビュー SHOT JAPANスタッフ ケイタ