独自の感性で一瞬を捉える

 鶴田真実さんは、デジタル世代の最先端をいくフォトグラファーです。SNSを使いこなして自らの作品を発信する一方で、カメラブログを執筆し、フォトスクールで指導を行う――。そんなマルチな才能溢れる鶴田さんに、新しい作品の生み出し方や、これからのカメラマンとしての在り方などを伺いました。

0071664A8074

Photographer:鶴田真実(つるた まこと)

中学生の時に某J事務所の1次を突破。関東を中心とした応募者1000名中の20名に残るも、面談まで行ってさらっと辞退。 2002年より週刊ゴングをメインに活動。2007年 事実上の倒産で突然の無職に 路頭をさまよいつつキヤノンビジネスサポートなどで一眼レフカメラの販売を担当。2010年 フリーのみに専念 WEBに強いカメラマンを強みに展開中

http://one-cut.net/

作品づくりに大切なのは、遊び心

カメラマンとしての最初のキャリアは、プロレス誌『週刊ゴング』の担当でした。ここで構図や迫力ある写真の撮り方など、基本を学びました。僕の場合、プロレスは誰もができるスポーツではないので、意図をもって表現します。例えば好きな選手の試合では、写真に対して僕もその選手になった気持ちで撮っています。相手に技をかけられた時の痛さや勝った時のうれしさ、負けた時の悔しさだったり……。一歩踏み込んで情を入れると、違うものが撮れるんですね。そういった感情表現が面白い写真を生み出すポイントになるのかなと思います。

SJ543634d21ef7a9.28239241

 

現在は、フォトグラファー、ライター、映像制作と多岐にわたって活動しています。写真の仕事としては、企業インタビューや会社の工場を撮影することが多いですね。

SHOT JAPANには、プロレス写真のほかに、仕事以外のジャンルとして休日のおさんぽ写真も載せています。作品をつくる際にいつも心にあるのは、遊び心を忘れないことです。クライアントがいる仕事の写真だと求められるものを撮るので、どうしても硬くなってしまうんです。だから、趣味の写真としては真逆のことをしたいなと。例えば、ちょっとふざけた構図や技法を使ったり。また、その時の僕のコンディションが写真になっていることが多いですね。気分が乗っている時は明るいふんわりした写真になりますし、重い気分の時は影のある雰囲気の写真を撮っています。

SJ543f87146b36c1.85501459

 

「ゴーストポートレイト」という作品では、幽霊になった生徒が校内のあちこちに佇むという、ちょっと不思議な世界観を創り出しました。僕たちが普段、目で見ているものは現実的ですよね。だから、作品性のあるものをつくるにあたり、目に見えてないものを撮ろうと思った。そこで、ちょっといたずらをしてみたんです。カメラをいじった時に、2~3秒でシャッターを切っておいてすぐに被写体を動かすと、透き通った感じの残像が写るんですね。この手法は、たまたま夜景を撮りに出かけた際、シャッタースピードが遅くなった時に、「これは使える!」と気づいた。偶然の産物とひらめきから生まれた作品です。

SJ54c10ceb0e2089.65779803

新しい時代の生き方を模索

フォトグラファーって、あるものをきちんと決定的な瞬間に撮る人と、自分のイメージを持っていてそれを創り出して撮る人と二極化されると思うんです。僕はもともとプロレス写真を撮っていたので、動いているものや何か起きていることは撮れます。だけど、ポートレイトや広告写真は、フォトグラファーやクライアントのイメージがあったうえで、絵作りして実際に構図などを指示していきます。僕はここが苦手なところでした。今後は、自分の思い描く絵を作って、決定的なタイミングを逃さずに撮るということをしていきたいです。目指すは「意図して撮ったんだけど、なんでこうなったの?」という不可思議な写真。見た時に、本当は自然な日常の風景の中にいるのに、明らかに現実的じゃない何かが入り込んでいる……。そんな写真を撮っていきたいと思っています。

 

SJ543f86bce3be25.45380137

今の仕事の内容としては、完全に商業写真が多いですが、作家として自分の作品を持っておかないと、という気持ちはあります。何でも撮れるマルチフォトグラファーに近いので、他の人と何が違うのか明確に言えるようになりたいです。

今は、昔のやり方だけでは生きていけない時代です。僕の場合は、ネットを攻めているフォトグラファーがまだ少なかった時代にネット界隈をまわって仕事を受けて、フォトグラファー兼ライターになりました。あと5年ほどしたら、新しい仕事の広げ方というのが出てくると思います。今後は、企業や個人向けにカメラに関するテクニックなどをセミナーとして教えていくなども検討中で、日々、フォトグラファーとしてどう生きていきたいか模索しています。

 

フォトグラファーの“意図”を感じる作品に惹かれる

 0069664A8065

好きなフォトグラファーはたくさんいますが、ぱっとは撮れないであろう瞬間を抑えていたり、その時じゃなければ撮れないものを創り出している人の作品は非常に惹かれます。

特に、カナダの写真家、グレゴリー・コルベールの「Ashes and Snow」という移動式の写真・映像・小説作品展は感銘を受けました。動物と人間が融合しているような、非常に芸術的な作品です。

SHOT JAPANのギャラリーでは、makoto shukawaさんの世界観が好きです。意図して写真を撮っているなと感じます。また、natsumeさんの独特の色彩感覚や篠原幹彦さんの幻想的な風景写真もいいですね。

 

インタビュー SHOT JAPANスタッフ ホミン